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定款とは会社の基本的なルールブック。内容を慎重に決めて作成すべき理由とは?

読了予測時間:約 12 分

会社を設立したいときに、必ず耳にする言葉「定款(ていかん)」。子どものころに学校の授業で習ったような気がするけど、いざ必要となると何をどうすればいいのかよく分かりませんよね。

定款とは、会社のルールを記載した書類(もしくは電子書類)のこと。あなたが会社を順調に展開していくために、会社法に基づいたもっとも重要な決まりごとを記載します。

ここでは、

なぜ必要?

どうやって作ればいい?

難しそうだし誰かに任せてもいい?

と定款について詳しく知りたいあなたへ、必要な理由と作成のポイントをわかりやすくご紹介!定款の意味をしっかり理解して、ベストな内容を決めていきましょう!

目次

定款とは「作成しなければならない会社の基本ルール」

Articles of association  

定款の目的・役割

定款とは、商号、本店所在地、資本金額、事業内容など会社の基本的な情報をすべてつめ込んだもの。記載内容は法律に基づく書式で1つずつ決めていきますが、自由に決められる部分もあります。

定款が存在する理由は、会社をベストな状態でスムーズに運営していくため。社長と株主など社内のトラブル解決に利用したり、事業拡大や資金調達のために第三者に「どんな会社なのか」「何をする会社なのか」を知らせたりします。

まずは会社の設立時に作成し、株式会社の場合は公証役場で認証を。合同会社の場合は認証不要ですが、作成は必ずしておかなければなりません。

定款が必要なシーン

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定款は、以下のようなシーンで必要です。

  • ・会社の設立登記をするとき
  • ・税務署へ会社設立の旨を届けるとき
  • ・金融機関と新しい取引を開始するとき
  • ・国や自治体から助成金をもらうとき
  • ・営業の許可を申請するとき

定款は会社の本店・支店に備え置き、必要なときに閲覧したりコピーをしたりします。閲覧できるのは、代表者・株主・債権者のみ。一般の人は閲覧請求ができません。

そのため、定款の提出を求められたら閲覧して「写し」を準備するのが基本。請求に対してサッと応じないと、取引きがスムーズに完了できず、会社の信用を失うおそれもあります。

定款作成のポイント

Point

会社のルールを決め、記録しておく定款。どんな風に仕上げていけばいいのか、具体的にみていきましょう。

【いつ】会社設立前、定款認証を受けるまでに

定款が1番初めに必要なのは、公証役場へ行って「定款認証」を受けるとき。会社を設立する前に、定めた会社のルールに法的な効力を持たせるための手続きの1つです。

公証役場があるのは全国約300箇所。元裁判官や元弁護士など、法律に精通した公証人がいます。

手続きは問題なければその日に完了しますが、不備があるとなかなか認めてもらえません。すぐに直せるものなら、その場で訂正すればOK。でも、大きな不備があると後日になってしまいます。

【誰が】自分・専門家

定款の内容を決めるのは、会社を作りたいあなた。ただ、最後には発起人の署名または記名捺印が必要です。

ただし、自由に決められる分、法律に違反したり会社にとってネガティブな方針にしてしまったりするおそれもあるので注意!きちんと法律に従ってベストな内容に決めていくため、行政書士や弁護士などの専門家からアドバイスを受けると安心です。

【どこで】会社・専門家の事務所

定款は、ゼロからすべて自分で作るならどこで作成してもOK。ただ、すべて自分で作成しなければならないという決まりはないので、会社の設立手続きに詳しい専門家へお任せしてもOKです。

定款認証は委任状を作れば代理人が提出できるので、公証役場へ行く手間も省けて便利ですよ。

【何を】3つの記載すべき事項(絶対的・相対的・任意的)

定款は、大きく分けて以下の3つを記載します。

  • ・定款に必ず記載しなければいけないこと|絶対的記載事項
  • ・定款による効力をもたせたいこと|相対的記載事項
  • ・簡単に変更ができないようにしたいこと|任意的記載事項

それぞれ、会社法に従って書かないと定款が無効になるので内容を知っておきましょう!

「絶対的記載事項」の意味・内容

必ず記載しなければならない事項。1つでも誤りがあったり抜けていたりすると、定款そのものが認められず無効となります。

また、定款認証の際は不要なものの、次の段階(会社の設立登記)では発起人等の同意の上で追加が必要となる事項も。二度手間になるので、初めから一緒に記載しておくのがおすすめです。

【内容】※株式会社

  • ・目的
  • ・商号
  • ・本店の所在地
  • ・発行可能株式総数(※)
  • ・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • ・発起人の氏名または名称及び住所

(※)発行可能株式総数は、定款認証の段階での絶対的記載事項には含まれないものの、原始定款に記載しなかった場合は会社設立登記までの間に発起人等が同意した上で定款に追加しなければならなくなるため、定款認証の際に記載をしておくのがおすすめです。

【内容】※合同会社

  • ・目的
  • ・商号
  • ・本店の所在地
  • ・社員の氏名または名称及び住所
  • ・社員の全部が有限責任社員とする旨
  • ・社員の出資の目的及びその価額

「相対的記載事項」の意味・内容

記載することで効力が持たせられる事項。なくても、定款そのものの効力には影響ありません。

【内容(例)】※株式会社

  • ・基準日
  • ・取締役等の任期の伸長
  • ・剰余金の配当に関する規定
  • ・株式の譲渡制限に関する定め
  • ・会社の負担に帰するべき設立費用
  • ・会社の成立後に譲り受けることを目的とした財産とその価額と譲渡人の氏名
  • ・取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、委員会、代表取締役の設置

【内容(例)】※合同会社

  • ・業務執行社員の定め
  • ・代表社員の定め
  • ・利益の配当に関する定め
  • ・社員退社時の出資金額払戻に関する定め
  • ・会社解散時の残余財産の分配に関する定め

「任意的記載事項」の意味・内容

記載がなくても定款そのものの効力には影響なく、定款外でも定められる事項。定款と関わることでその内容が会社法によって守られ、変更は「定款変更」の手続きが必要になります。

【内容(例)】※株式会社

  • ・議長
  • ・事業年度
  • ・公告方法
  • ・定時株主総会の招集時期
  • ・取締役および監査役の員数

【どんな内容】会社の将来を見据えて慎重に

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上記のように、定款には会社の基本的な情報と、事業の発展や運営のしやすさが決まるような内容を記載します。

「定款 作成」と調べると自分で簡単に作成できる「ひな形」がありますが、注意が必要!資本金額や事業計画など、自由に決められる部分によって、「課税額」や「会社の信頼性」が大きく異なります。

たとえば、資本金は1,000万円未満が理想。会社は1円から設立できますが、当面の運転資金や外部との信用を得るために少額すぎるのはNGです。

また、設立後は要件を満たせば最長2年間消費税がかかりませんが、資本金1,000万円以上になると課税の対象に。といっても、免税になるには売上高・給与支払額が一定の期間・金額に収める必要があります。

自分だけで定款を作成すると、このような専門知識がないと損をしてしまいそうですよね。そもそも、資本金や事業年度、資金の調達方法や事業計画は何が会社にとってベストなのか分かりにくいもの。

定款はあとで変更できますが、認められるには株主総会にて過半数の株主が出席&賛成(2/3以上)しなければいけません。

定款の内容を決めることは、会社のスタートと発展を左右する重要なプロセスであり、軽くみてはならない部分なんです。

※参照元:軽視することなかれ 定款の書き方ひとつで、会社の未来が決まる|税理士紹介センター 株式会社ビスカス(2020年8月時点)

【Q&A】お客さまからよくある質問

定款の作成の際、シンクバンクのお客さまからよくある質問をご紹介します。

Q|資本金の額によって法人住民税や消費税が不利になる?

A|はい。

法人住民税のうち、前年の所得金額にかかわらず費用がかかる「均等割」は、資本金が増えるほど額が上がっていきます。

額は地方自治体によって異なり、たとえば、東京都23区内のみに事務所のある従業員50人以下の法人は、

  • ・資本金1,000万円以下|7万円
  • ・資本金1,000万円超~1億円以下|18万円
  • ・資本金1億円超~10億円以下|29万円

となります。

消費税は、新設法人の場合原則として消費税の納税義務が第2期まで免除されますが、1,000万円を超えると課税の対象となるためです。

Q|資本金の額は少なくても大丈夫?

A|1円から設立できますが、場合によっては注意が必要です。

銀行から融資を受ける可能性があるなら、最低でも運転資金3か月分、できれば運転資金6か月分程度の資本金が望ましいです。また、旅行業など、登録の際に一定の資本金額が求められる事業もあるため注意が必要です。

上限はありませんが、資本金額が1,000万円以上になると初年度から消費税が課税されてしまうことにも注意してください。1,000万円を超えると法人住民税の均等割額が増えてしまうため、1,000万円未満とするのがおすすめです。

Q|最初の事業年度は7か月以下が良いと聞いた。どういうことか?

A|「消費税特定期間」が関係します。

法人の場合、初年度の最初6か月間の課税売上高と給与支払額(役員報酬含む)の両方が1,000万円を超えてしまうと、2年目から消費税が課税されます。

しかし、最初の事業年度が7か月以下であれば、この制度は適用されません。その結果、最初の1年7か月は消費税を納めずに済ませることが可能です。

Q|事業年度末はいつにすべき?

A|余裕のある時期を。

事業年度の末日時点では、実地棚卸などの作業が生じます。また、その後2か月以内の税務申告に向けて各種決算整理も必要です。

通常の事業活動に加えてこのような追加の作業が出てくるため、事業年度末(決算期末)はできるだけ繁忙期を避けるのがおすすめ。

なお、初年度の最初6か月間の課税売上高と給与支払額の両方が1,000万円を超える見込みの場合は、法人設立から7か月以内の決算期末を検討する必要があります。

Q|登記を工夫すると、役員重任登記の費用が節約できると聞いたが本当か?定款作成上の注意点は?

A|「任期伸長」「譲渡制限」で工夫可能。他人が役員就任の場合に注意です。

通常、取締役は2年ごと、監査役は4年ごとに重任登記を行う必要があり、その都度登録免許税1万円と、司法書士に依頼する場合はその手数料が発生します。その際、定款に株式の譲渡制限に関する規程と任期伸長の規定を設けることで、取締役・監査役等の任期を10年に延長でき、重任登記の費用と手間が節約できます。

ただし、家族ではない第三者が役員に就任する場合は注意。10年間役員が変えられないと問題を生じる可能性があるので、より短い任期を検討する必要があります。

役員が社長だけ、または社長とその家族だけの場合は、任期伸長・譲渡制限を設けた定款をおすすめします。

Q|会社を設立するが役員は社長1人だけ。取締役会や監査役会は必要ない?

A|条件を満たせば必要ありません。

会社法では、法人の機関として取締役会・監査役・監査役会の設置は必須ではありません。そのため、社長1人だけが代表取締役という形態でも問題ありません。

ただし、監査役の設置を省略するためには、「取締役会が無い」「株式譲渡制限規定が定款に設けられている」等の条件を満たす必要があります。

Q|電子定款にすると費用の節約になる?

A|はい。

紙の定款は、例えば株式会社や合同会社なら「4万円」の印紙を貼付する必要があります。ただし、電子定款なら印紙の貼付が不要なので費用が節約できます。

当社の場合、電子定款作成に対して2万円の手数料を頂いていますが、紙の定款を作成する場合よりは費用がお安くなります。

定款の作成は安心の「税理士法人シンクバンク」へ

会社を立ち上げるときは、業務の準備をしたり設立時の手続きを進めたりとやることがたくさん!定款は重要とはいえど、1つずつ調べながら完成させるのはとても大変で時間がかかりそうですよね。

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そんなときは、専門家へ相談!税理士法人シンクバンクは、会社設立から節税、補助金獲得、事業継承までお客さま1人ひとりに合わせて最高水準のサポートをしています。

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定款の作成費用は無料

シンクバンクは提携の司法書士と連携し、お客さまにとって最小限の手間・コストで会社設立を代行します。

その際の定款の作成は、税務顧問契約を結んでいただければ無料!設立後も、節税や補助金・助成金の獲得など会社の運営・成長に関してベストなアドバイスができます(※電子定款の場合は作成手数料が税抜2万円必要です)。

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定款記載事項は注意点が多い

定款に記載する事項は、指定された書き方があったり外部に事前確認が必須なものがあったりなど、1つずつに注意点があります。

少しだけご紹介しますね。

「目的」

  • ・将来行う予定のある事業もあれば合わせて記載できる
  • ・「前各号に付帯関連する一切の事業」という文言を付加するのがおすすめ
  • ・定款に記載のない事業を行った場合、その経費が税務上損金不算入となる可能性がる
  • ・旅行代理店や古物取引商などの許認可の必要な事業の場合、指定されている書き方をしなければ許認可が降りないことがある

「商号」

  • ・商号中には「株式会社」という文字を用いる
  • ・前(株)と後(株)の語感の良い方を選ぶ
  • ・同一の本店所在住所に既に登記された商号と同一の商号は登記できない※他事業者とのトラブル防止のため法務局窓口(商号)および特許情報プラットフォーム(商標)で事前確認が必要
  • ・有名企業と類似の商号は不正競争防止法に抵触するため避けるべき

「発起人の氏名又は名称及び住所」

  • ・発起人の氏名又は名称、住所を記載する
  • ・印鑑証明書の氏名、住所と完全に一致していなければならない
  • ・発起人を法人とすることができる
  • ・「発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数」及び「設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額」についても記載しておけば、設立登記申請の際に「設立時発行株式に関する発起人の同意書」の作成が不要になる

いかがでしょうか?何やらたくさんの決まり事があり、法律に基づいて正確に記載するのは難しそうですよね。

シンクバンクでは、これらを定款案を用いながら1つずつ丁寧にお伝えし、「こうしておいた方がのちのち有利」「この方がトラブルを防ぎやすい」などのアドバイスも可能!安心してご相談くださいね。

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安心しながら賢く定款を作成しましょう

定款とは、会社に欠かせない基本のルール。会社法に基づいて適切に作成・設置するものであり、その内容は会社の未来を左右するため慎重に決めるべきだということがわかりましたね。

  • ・絶対的記載事項
  • ・相対的記載事項
  • ・任意的記載事項

それぞれ、会社に有利な内容にするにはどう書けばいいのか不安な人も多いのでは?

そんなあなたは、ぜひ税理士法人シンクバンクへ!相談は無料、定款の作成も無料。「定款」について正しく丁寧にご説明し、あなたの会社にベストなアドバイスとサポートをさせていただきます。

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