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「中古のベンツで節税」は本当か?

読了予測時間:約 3 分

 

皆様、こんにちは。当事務所代表の小杉です。

今回はホームページ開設後の初めての記事となるため、どのような内容にしようか少し悩みましたが、以前から気になっていたことをまず書いてみようと思います。

巷では、色々なメディアで多くの節税策が紹介されています。
しかし専門家としてはあまりお勧めできないものも多く、残念に思うこともよくあります。
その中の1つが「中古のベンツで節税」というものです。

まず、節税できるとされている理屈を事例でご説明しようと思います。

 

【事例】

節税したい会社の1年間の所得:2,000万円
上記の所得に対して支払う税金: 600万円

このような会社の社長が、何とか税金を少なくする方法がないかと悩んでいるとき、知人から「中古のベンツを買うと一発で経費にできる」という節税策を聞きました。

会社が事業のために支払う費用は原則として経費になりますが、車のような固定資産は買ってすぐ全額を税法上の経費にすることが通常はできません。
固定資産は数年~数十年の長期間使えるため、経費もその期間中少しずつ計上すべき、という法律があるためです。
(この経費計上すべき期間のことを減価償却期間といいます)

しかし、中古で購入した固定資産は新品と比べて使用可能期間が短くなります。
車の場合、減価償却期間は通常6年ですが、4年落ちの中古車の減価償却期間は2年にすることができ、しかも法人が通常採用する定率法という償却方法を使えば、最初の1年間で全額を経費にすることができるのです。

例えばベンツSクラスの場合、走行距離の短いものであれば、4年落ちでも600万円ほどの取引価格のものがあります。
期首にこのベンツを購入して使い始めれば、その年中に600万円全額が一発で経費にでき、税額も約200万円減らすことができる、というわけです。

 

しかしそう素直に喜ぶこともできません。
もしこのベンツを節税目的のためだけに購入したのであれば、以下のような問題が生じてきます。

  • 600万円もの資金を少なくとも1年間は眠らせてしまうことになる
  • 1年間ほとんど走行せず、1年後に無事600万円で売却することができても、償却済資産のため600万円全額が利益となり、200万円の税金が課税される
  • 資産価値が減るまで車を保有していれば売却益と課税額は少なくなるが、回収できる現金は減ってしまう

例えば1年後に600万円で売却した場合は、結果としては200万円の税金の支払いが1年遅れただけ、ということになるに過ぎません。
世の中に溢れる節税策には、このように税金の支払いを少しだけ先に延ばすに過ぎないものが多くあります。

ただ、この低金利の時代、1年~数年だけ税金の支払いを遅らせることの価値はどれほどあるでしょうか?
車の購入のために運転資金を減らし、自動車取得税や自動車税、自動車重量税、保険代、駐車場代などの経費を払い、購入や売却の手間をかける価値が本当にあるでしょうか?

 

我々の事務所でももちろん節税策のご提案を積極的にしています。
しかし、その節税策は単なる税金支払いの先延ばしではなく、未来永劫絶対的に税額を減少させることができる、というものです。
その上、単なる節税策ではなく、お客様の事業の成長に貢献することができるものでさえあります。

次回は、そのような節税策について、その一部をご紹介したいと思います。

 

(注)この文章は2019年5月10日現在の法律をもとに記載しています。

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